今回はスクワットをするときに「膝をつま先より前に出してはいけない」という考え方が昔からありますが、それについて姿勢改善トレーナーの見解をお話させていただきます。
結論からいいますと、「スクワットで膝をつま先より前に出してはいけない」は絶対ではありません。
ですが、今まで多くの人が取り入れてきた「スクワットで膝をつま先より前に出してはいけない」を否定する訳ではありません。
人によってそれが当てはまるパターンもあるからです。
では、解説に入ります。
スクワットで膝をつま先より前に出るパターンがある?パターンその①
人の体はそれぞれ筋肉のつき方や骨の長さが違います。
腕が長い人がいれば、足が短い人だっています。
その理由が骨の長さになるのですが、今回「膝が出るパターンがある」で当てはまるのが、大腿骨が長い人です。
スクワットは膝関節と股関節を折り曲げてしゃがむ動作になりますが、大腿骨が長い人が重心の位置をずらさずに自然にしゃがんでいったら膝の位置はどこに来るかをイメージしていきましょう。
重心の位置を変えずにしゃがめば、必然的に膝がつま先より前にでることがわかります。
もし、これが無理やり膝を出さないようにしてみたらどうなるでしょうか?
このように、バランスを取るために上半身をかなり傾けた状態になってしまい、腰に想像以上のストレスがかかりますし、うまく地面からの反力をバーベルに伝えることができないので重量もどこかで伸び悩んでしまうでしょう。
膝に意識を取られすぎない!
つい、スクワットでしゃがむときに膝の位置を気にしすぎて、バランスをとるのが難しいという人がいます。
その場合は、膝ではなく「お尻を後ろに突き出す」意識をしてみてください。
その意識が持てればスクワットでお尻やハムストリング(腿裏)に効かせやすいですし、膝を自然な位置に出るはずです。

スクワットで膝をつま先より前に出るパターンがある?パターンその②
写真はハイバースクワットです。
基本的にスクワット中のバーベルの位置は足の中心(ミッドフット)の垂直線上で常に移動していなければなりませんが、膝をつま先よりも出さないように意識すると下の写真のようになります。
膝を出さない分、上半身を前に出してバランスを取ろうとします。
つまり、バーベルも重心線上から前にずれてしまい、体のどこかしらにストレスがかかることになります。
そのため、バーベルが重心線上にある、自然にしゃがんでいった結果膝がつま先よりも前に出ることがあるということになります。
「膝をつま先より前に出さないようにしよう」はなんだったのか?
自分自身、この合言葉がどこから始まって解釈されるようになったのかはわかりませんが、
この言葉は「初心者でかなり膝を前に出してスクワットをしてしまう人」や「姿勢的に大腿四頭筋(腿前)を使いやすい人」に向けたキュー(動きの指示)であるのではないかと思っています。
自分の指導経験上、おおげさに膝を前に出してしまう人には、おおげさに膝を出さないフォームを意識してもらうことで、ちょうど中間地点の「自然なフォーム」になりやすいことが多いのです。
ですので、自分もそのパターンのクライアント様に対しては、「膝をつま先より前に出さないで」というキューを使うこともあります。
一般的に、ほとんどの人が大腿四頭筋を日常的に使いやすい姿勢になっています。
その割合が多いがために、このキューが広がっていって全員に当てはまるようにと誤解されるようになったのではないでしょうか。